統計学とは

 統計学を数学の一分野だと思っている人が少なくないのですが、じつは、統計学は、数学や物理学と並んで立つ学問のひとつです。

 当たらずと言えども遠からず、というのが、統計学のコンセプトです。

 歴史の集積を求め、いまを分析し、もの・ことの因果関係を洞察する。それが、統計学です。

ダウンロード
統計学とは何か.pdf
PDFファイル 150.0 KB
ダウンロード
統計の歴史.pdf
PDFファイル 150.6 KB

 その統計学のうち、確率論を基礎にして、全体から標本をえらびとり、それによって全体の状態を推測するものを推測統計学といいます。

 たとえば、つぎのグラフは、日本が人口の統計を取り始めた時から現在までの推移を全体として、その先を推計したものです。

さて、この先、人口はどのように変わっていくのでしょうか。

赤ライン ア のように上昇していくのでしょうか。それとも、イ のようにほとんど変わらないのでしょうか。また、ウ のように下降していくのでしょうか。

 ここで、まずは確率を考えてみると

 たとえば、サイコロを投げて、同じ目が出る確率は、「同様に確からしい」ということを前提にして計算します。その場合、おもに場合の数を数えるだけで、ほとんど順列・組み合わせの問題になって、適用の範囲が制限されます。これが「数学的確率」というものです。

 

 しかし、現実にはサイコロはいびつなものですので、「同様に確からしい」という条件はそもそも成り立ちません。このようなとき、実際にそのサイコロを繰り返し投げて、そのうち何回同じ目が出るかを観察します。その投げた回数のうち同じ目が出た相対的な回数(相対度数)がほぼ一定の数値に安定してくれば、その数値が求める確率となります。これが「統計的確率」というものです。

 

 このように、統計的確率は適用範囲や応用面がともに広く、有用な考え方になっているのです。

 数学的確率で明らかになった理論の範囲内に、統計的確率を入れた結果が収まれば、「その値は正しい」とわかります。これが、統計的な結果として判断されるのです。

 

 でも、統計的確率は、試行の繰返しを前提とするので、来年生まれる人の数とか、明日の株価が上がるか下がるかなど、論ずることはできません。この場合、人が生まれるかどうか、人が株を買うか買わないか、の判断の確からしさの度合いをなんらかの方法(たとえば、経験的な法則など)で数量的に表現し、しかもそれに確率論が適用できるならば、その決定が合理的であるという根拠が与えられたことになります。これは「判断(主観的)確率」として呼ばれ、「数学的確率」というものもこの範疇に入っているのです。

統計学はなぜ必要か

 

たとえば経済では、バブルは繰り返す。

 

まずは歴史に学ぶ

 

◻︎ バブルの前兆を見極めるうえで重要なのは、歴史にきちんと向き合うことだ。たいていの人は過去の経済情勢がどう変遷してきたのか、あまりにも知らない。

 

◻︎ 過去の例から学ぶことは驚くほど多い。古くは17世紀のチューリップバブルや、18世紀の英投資会社が引き起こした南海泡沫(ほうまつ)事件。1920年代の世界恐慌も良い教材になる。

 

◻︎ こうした過去の事件にはバブルを示す共通の兆候があると思う。まず、ものの価格の上昇が似たような形状を描く。

 

◻︎ 最初は何らかの予兆があって価格は上がるが、そのうち何の理由もなく上昇カーブがきつくなる。いつの間にか急激になり「メルトアップ」といわれる状態に。しかし、異常な上昇は急落の予兆でもある。

 

◻︎ バブルのこうした動きを「登りはエスカレーター、下りは(高速の)エレベーター」と評した人がいる。至言だ。いずれにせよ曲線がごく自然な上昇を示しているのか、急騰・急落の前兆なのかをしっかり見極めておく必要があるだろう。

 

初心者が参加してきたら疑う

◻︎ 過去のバブルから学べるもう一つの共通点がある。ふだんは経済に関心の薄い、なじみのない人がこぞって参加してくることだ。

 

◻︎ バブル環境では、経済の専門家までもが過信し、飲み込まれてしまう。

 

異常値を素通りしない

◻︎ 価格の変調を計量的に見分ける方法がある。

○ 関連するデータを一定期間集め、統計学を用いた分析で「標準偏差」という散らばり具合を示す数値を出す。そのうち1シグマの標準偏差から外れた部分を数える。

 

◻︎ 過去の例から、

○  一定期間に数値が1シグマを何回飛び出るのかの回数を求めれば、次に枠を飛び出す回数の予想をたてられる(ポアソン分布)。

 

◻︎ 例えば、

○ 過去の平均が月3回だったものが、8回になっていれば何かがおかしいと気づける。かなり単純な方法だが、人工知能(AI)による経済分析より、よほど有用だと思う。

 

◻︎ リスクにいち早く気づくため、

○ 指標となる統計データを一覧できるよう、自分だけの表に落とし込んでいく。30くらいの経済指標を一つの画面に並べ、ことあるごとにチェックしていく。

○ 短期の指標から、世論調査による政権の支持率まで、これから起こりうる問題に関わりそうなデータは常に手元に置いておきたい。

 

◻︎ 統計の異常値を絶対に無視してはいけない。振り返ると、数値に異常が生じたにもかかわらず素通りし、バブル発生に気づけなかったケースは枚挙にいとまがない。

 

「経済はアート」で、片付けない

◻︎ 経済をアートのようだと称する人がいる。美しい絵を前にしてなぜ美しいのかをきちんと説明できないように、経済も結局は主観で判断するしかないからだ。経済は、人びとが個人、個人の判断でつくる、アートフィシャルなものだ。同じものを見ても、一人ひとり違う結論を導き出せるのが、経済の魅力であり悩ましい部分だ。

 

◻︎ だが、最後の最後に判断する際は、計量的な判断領域をなるべく増やす努力をすべきだ。もちろん経験に頼るところはあるが、さいころを振って決めるのではなく、あくまでも真摯に粘り強く分析を続けることが決め手になる。

 

◻︎ 経済を分析するうえで、今後より重要になっていくと考える視点がある。バブルが実際に崩壊した後を予想するシミュレーションだ。

 

いかにリスクをとらないか

◻︎ 「何月何日に地震が起きる」との予測が難しいように、バブル崩壊の日時を正しく予測するのは無理だ。その一方で、巨大地震が起きた際にいかに早く生活基盤を立て直せるかは、日ごろの備えによる部分が大きい。経済の崩壊においても同じだろう。

 

◻︎ 勘や経験頼みではなく、過去の事例をていねいに分析し、最悪のシナリオが起きる蓋然性に備えていきたい。

遠隔対話アプリ zoomにて、1対1の初回無料体験レッスンが受けられます。

下記アドレスにてお問い合わせください。

 

zoom のアプリはこちらからダウンロードできます。

ZOOM Cloud Meetings

 連絡先: scientificsemi@gmail.com